Text by Hiroshi Inuzuka. Edited by colorsmagyoge.

Claude Maki.Photo by colorsmagyoge.

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 我々サーファーにとって「サーフィン」とは、
「波に乗る」ことこそが本質なのか、それとも
「横乗り」であることこそが本質なのか?
 それは人それぞれ、十人十色であるだろう。
発想を変え、陸上トレーニングとして
スケートボードやスノーボードを取り入れてみるも良し。
 ライディングスタイルや乗る道具を
コンディションに合わせて変え、
新たな感覚を楽しむも良し。
 過去に遭遇した事故による後遺症が原因で
スタンディング・サーフィンからニーボードへと転向。
 現在は真木蔵人専属のニーボード・シェイパーであり、
今は亡き月刊SURF1st誌に連載コラムを持っていた
ニーボード愛好家としても広く知られる犬塚氏によるコラム
「視点を変えて波に乗り、初めて見える波世界」
じっくりとお楽しみください。

by colorsmagyoge.

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スタンディングボードからニーボードに転向した理由は

体の故障が原因で、ハンドパドルができず、

背骨の数か所がダメージを受け、

立ち上がるまでの動作が不自由なためであった。

今思い返してみると、

少数のニーボーダー達との出会いの中で

身体的にスタンドボードライドよりニーボードライドのほうが

無理なくその遊びを楽しめる人達が意外に多いのである。

ハンディを身体にうけても、

乗り方自由、楽しみ方自由であるところが

これまたニーボードの良いところであるように思う。

私の場合、ニーボードに着目、実行した時から、

新しいサーフィン人生がスタートしたのだ。

Ride & Text by Hiroshi Inuzuka.

今やこの時代において、

あらゆる海遊び文化、波乗り文化が伝播しているのにも関わらず

このニーボード文化だけはいつも不人気の感がある。

みな様もご存じの通り、板、フロートを使わない

スイムフィンだけで波に乗るボディーサーフィンという

原点的なサーフィンもあるわけだが、

とりわけニーボーダーの目指すライディングスタイルほど

一般人には不自然と見えてしまうのかもしれない。

グラスファイバー製の板に

スケッグコントロール出来るだけの長さを持ちながら

スイムフィン足ヒレを履き、ひざまづいてライディングするのだ。

それならスタンディングライドで!!

と誰もが思うかも知れない。

初心時、

例えばサーフィンスクールで初めに目標とするのは

自分の力で波をつかまえ立ち上がりライディングする。

それが目標の第一であるのだから、

自分の力で波を乗り始めたら、

波の通りに乗りこなせるようになってきたら

「なんで今さらひざまづき、ニーリングなのか?」

と言う初心の頃思いえがいた目標とは大逆転の発想になってしまう。

これがスタンディングボーダー的な疑問の一つだと思われるが。

Pro Bodyboarder Kazuma Tomita.Photo by colorsmagyoge. 

では、ボディーボーダー派の人達からはどうだろう。

ニーボードを目にしてライディングを想像した時に、

たぶんボディーボーダーは硬質グラスファイバー製の板も必要ないし

スケッグコントロールも考えていないだろう。

ボディーボードの魅力を知る人は、

波、海との完全な一体化をはたしているのだろう。

と、私は想像するのだが、進化する遊びの中で、

片ヒザをつき、ヒザ立ちしてライディングするスタイルも

ボディーボーダーの中で確立している。

私のよく行くHAWAIIでは、

あの小さなボディーボードの上に直立して

ライドする人も良く見かける。

今、スタンディングライドする人、

あのハイパフォーマンス、スピードに魅せられた人達と

ボディーボーダー達、

又別に体一つで波と一体化している原点ボディーサーファーを

そのスタイル別でライディング感覚を一例として

話を進めているわけだが、彼らのニーボードに対する感覚、発想は

どんなものなのかいつも気になってることの一つなのだが、

ニーボーダー派の私達は情報の薄い環境の中、

メディア、雑誌にも取り上げられることなく、

マイナーイメージのままそのライディグを実行している。

Claude is always happy with his Kneeboarding.

波乗り世界と言うのは、

そのよろこびなんの差別もなく人を虜にしてしまうものなのか、

実際ニーボードをやればやるほど

その魅力に身も心ものめり込んでしまう。

やはり、ボードデザインの奇抜性、性能、

ライディングのスピード感、低い姿勢から見る波の親近感、

パフォーマンス性もショートボーディングに引けをとらない。

ニーボードライドをする時、

足にスイムフィンを履かずハンドパドルでテイクオフ、

さらにハイパフォーマンスを意識したボーダーもいる。

私も過去においては

スタンディングライドを長年楽しんでいたので

ニーボードを始めたころは、

足のスイムフィンがビーチや残り水の所を歩く時、

岩場からのエントリー又、陸に上がる時の不安は承知している。

ハンドパドルでニーボード。

これも又ナイスな感覚である。

なかなかとり付きにくい波乗りスタイルなのだろうが、

もう一つ壁になっているものはニーボードを作るメーカーの不足、

販売店の不足もあるように思われる。

私も自分の道楽的にニーボードを作製しているが、

販売となると他の本業もあるのでまずおいつかない。

そこでこれからもしニーボードを始めたいと思う方がいるのなら

日本では千葉にあるGrace surf、

☞ >>>Grace surf

インターネット販売ではHAWAII・ブラスト、

オーストラリア・フラッシュポイントなどで検索すれば、

アメリカ西海岸、オーストラリア、ハワイなど

すぐ数社がヒットする。

KB、USA、ユーチューブなどでは

ニーボードライドの動画も数多く映し出されている。

私なりにもニーボーダーの力になりたく、

最大限の協力姿勢でいるのでもし、

要件がある方はinfo@club-fap.com まで連絡ください。

日本の草わけニーボーダーとして

いつも意見をもとめる方が梅沢氏と川南氏であるが、

サーフトリップで奄美大島へ行くことがあれば、

ぜひ元祖ニーボーダーである梅沢氏を訪ねてほしいものである。

氏のニーボードライド、ボードプロセス、

すべての道はこの人の知識の中に詰め込まれていると言っていい。

60歳を過ぎた隠居おやじだが、

年間150日以上のサーフディをこなし、まさしく元祖の域である。

f/s Ripping by Claude Maki. Photo by colorsmagyoge.

最後に私にサーフボード作りを教えてくださったすべての人達、

ニーボードを教えてくださった人達、

ニーボードを通して出会った人達に

人生の感謝を込めてまた波乗りに行きます。

協力してくださったボディーボーダー、マキクロウドさん、

フジオカケイさん、ハタシュウメイさん、

本当にありがとうございます。

 

 

yoge
サーフィン・プレビュー/吉田憲右著・泉書房、古都鎌倉ミステリー旅/吉田憲右著・コスミック出版など数々の書籍を発行し、2000年にTRANSWORLD SURFの外部スタッフとなったのをきっかけにメディア界に参入。 2001年から2009年10月まで月刊SURFING WORLDの編集部兼カメラマンとして勤務。 その経験と共に、第1回NSA東日本サーフィン選手権大会Jrクラス3位、2年連続THE SURFSKATERS総合チャンプなどテストライダーとして培ってきた経歴を活かし、サーフィンを軸としたスケートボード、スノーボード、ミュージック、アート全般をひとつのコーストカルチャーとしてとらえ、心の赴くままにシャッターを押し、発信し続ける。 >>>出版物 >>>プライベート撮影問い合わせ