Movie by LAN Airline Spain. Text by colorsmagyoge.
世界で最も距離の長いレフトブレイクとして知られるペルーの”Chicama(チカマ)”。
その本来の名前は現地ペルーの言葉で”Mamape(ママペ)”と言い、
「果てしなく続く波」という意味を持つ。
そこには、以前Rob Machadoがライドしたことで世界中に知れ渡った
ペルーの伝統的な波乗り道具として知られる”Totora Horse”で
偶然にも、おそらく地球上で初めて波に乗りサーフィンを発見したという
知られざる古来から伝わる古い歴史が存在していた。
およそ紀元前3000年。
現代は2015年になるので単純計算すると5015年前に誕生した”Totora Horse”は
ペルー北部海岸に位置するChicama周辺エリアで神殿を中心に大都市を形成し
紀元前から紀元後800年頃まで栄えたモチーカ部族が、
もともとセイルをつけてボートとして使っていたもので、
当時は”Tub”と呼ばれるものだったという。
“Totora Horseという名前”は、
のちにスペイン人たちがつけた名前で、
ネイティブ民族であるモチーカ部族が
海の中でその”Tub”という馬のような乗り物に乗っていたことが
その由来だと伝えられている。
ある日、13歳の少年がTotora Horseと共に沖に出た。
しかし、それは決して波を掴むためではなかったが、
偶然なのか運命だったのか、
その13歳の少年はTotora Horseで波を掴み、
波に乗ることに成功してしまった。
最初はニーボードのように膝でTotora Horseの上に乗ったが、
次第に立たなくてはと思い、
サーフィンのようにTotora Horseに乗ろうと思いはじめた。
まずは片足を立て、
その次にもう片方の足を立てて両足で立ち上がり、波に乗った。
そのまま波に乗りながら目を閉じ、
その感動を噛み締めてみると、
それはまるで13歳の少年がいつか夢の中で見た
波の上を自由に飛ぶペリカンの感覚そのものであった。
少年はあまりの感動に何度も何度も叫んだ。
「空を飛んでいる!! 空を飛んでいるぞ!!!」
目を開けてみると、自分が波の上を滑っていたことを改めて知り、
そのことが信じられず、全身に電気が走った。
その日以来、少年は毎日のように、
一日中このChicamaの波でサーフィンを楽しんだと伝えられている。
世界で最も果てしなく長いレフトブレイクとして知られるChicamaには、
そんな深い深いサーフヒストリーが潜んでいたのだ。