Photos & Text by Kuni Takanami,
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湘南のいい波を狙ってみたサーファーとしては
かなりやられた感を否めないほど、
台風12号のようなコースからなる南西うねりの南西風の組み合わせは、
やはりあそこだったかと改めて痛感せざるを得ない
まさにワールドレベルのブレイクに恵まれた新島での
JET中浦章とオーストラリアを拠点にTaylor Steelとも交流の深い
92こと高波邦行による写心と文章によってその模様をお伝え!
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Special Gift from Niijima God.
冬のオーストラリア、バイロンベイの波を存分に撮影し、堪能した7月末。
僕は格安路線のJetstarに飛び乗って今年3度目となる日本へ向かった。
毎年恒例のお楽しみが日本にあるからだ。
位置的には東京都に属するパラダイス、新島。
青い海とパワフルなビーチブレイク、
美しい自然とフレンドリーなローカルとのセッションが心を癒し、
毎回自分にとっての原点を感じさせてくれる。
そんな素敵な場所で毎年開かれるコンテストが
東京都主催の都知事杯 7xTokyoだ。
ここ数年波に恵まれず、
シークレットでの開催となった同コンテストだけど、今年は違った。
コンテスト開催が近ずき、
毎日天気図をチェックしていたある日
台風12号が九州の南を西に向かう進路を取っていた。
理想は南西スウェル。タイミングも完璧?
予定よりも2日ほど早めに到着する日本行きのチケットを手配し、
台風の行方がどうなるものか期待を胸に都内で待機していた。
大型客船に一夜揺られてラムネ色の新島に到着する頃、
メインポイントとなる日本屈指のビーチブレイク羽伏浦では
極上の波がブレイクし、コンテスト目当てのサーファー達を
バレルの中へと包み込んでいた。
数年ぶりとなるメインポイント、羽伏浦での開催とあって
高鳴るコンテストへの期待。
役員、スタッフ、そして選手たちと、
皆んなが汗だくになりながら協力し合いコンテストは進んでいった。
潮が上げ始めるのと同時に
波も徐々にパワーダウンしたもののコンテストは大盛り上がりの中
すべてのヒートを終了した。
2020年の東京オリンピック、
もしもサーフィンがオフィシャル競技になるとすれば
ぜひともこの東京都の海、新島の極上な波で開催して欲しいと切に願う。
コンテスト終了とほぼ同時に波もなくなり、
役員そして選手たちは翌朝家路に着いた。
今回コンテストの撮影もさながら、
来年のポスター撮影のため台風の波を追っていた僕と中浦Jet章は
新島滞在を1日伸ばして、日本列島の西側にそれてしまったスウェルの行方を
1日見守ることにした。
潮のいい時間には、
たまのセットで胸くらいのファンな波がブレイクするものの、
ポスターにはいまいちインパクトに欠ける波。
ローカル達も含めたサーファーほとんどが今回の台風スウェルを諦め、
最後の役員とコンペティター達を乗せた船が出航した。
夕方民宿富八で
「これからどうしようか?」
なんてゴロゴロしながら考えていると、
裕也がサーファー達を見送ったあと波チェックをしてすぐに情報をくれた。
「波割れてますよ!」
すぐさまJetと共に羽伏まで車を走らせると、
沖ではたった一人、加瀬勝が頭半ほどの
ほれたラムネ色のバレルを抜けていた。
ミラクル。
新島マジックとでも言おうか。
西にそれてしまった波長の長いスウェルが何のタイミングか今ブレイクしている。
Jetと僕はすぐに4-5ftのバレルがブレイクする海にダイブし
鬼カレントにもめげず撮影に没頭した。
「今日は美味いビールが飲めるね!!」
なんてジョークを飛ばしながら何本もバレルをメイクし、
おまけにこの日一番でかいセットでは
Alex Knostを彷彿させるボトムターンを決め込む
Jetの顔は笑顔でくしゃくしゃだった。笑
新島のローカル達が見守る中、
海の中は極上な波とJetと民宿富八でバイトする侑也、
そしてカメラを持った僕だけ。
夕焼けに照らされた男と男のタイマン セッション。
ゲイじゃないけど、こんな時間がたまらなく贅沢で幸せなひとときだ。
改めて東京都出身の自身にとって、
こんな波がここ東京にブレイクすることを心から誇りに思う。
毎年この新島に呼んでくれる東京都、そしてNSA東京支部、
ローカルサーファー、選手達、プロサーファーのみんな、
そして7xTokyoの実行員会に心から感謝します。
新島最高!