Photos by Takayuki”ManiaOchi”. Text by colorsmagyoge.

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確かに徐々にうねりはまとまってきたかのように見えたが、

それはただ多少マシになってきていたというだけであって、

時折入るお化けセットはゆうに8ft近くあり、

いまだサーファーの入水を拒むかのように

その鋭い牙をむき出しにしていた。

しかし、1ラウンド目でこの強烈な波の洗礼を受けていた金田輝士には、

自分が選ぶべき、乗るべき波がどの波なのか見えていた。

誰もいないピークにたったひとりでラインナップし、じっくりと波を待つ。

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「行けるのではないか」

陸から見ていて

一見まとまって入ってきたかのように見えるセットであっても、

一度浅棚にヒットすると海面が急激にへこんでボトムから底掘れし、

テイクオフ不可能なほどダブルアップを果たし、

まん丸のチューブを形成しては

クローズした出口をこじ開けるかの勢いでスピッツを吐き出す。

セレクトにセレクトを重ね、

ようやく掴んだレギュラーの波でチューブに突入。

しかし、この波はチューブに入ったまでは良かったが、

ショルダー側のうねりが突然開き気味となり、まさかのクローズアウト。

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そのまま立て続けに裏に入ってきていたセットを数発食らう。

ヘッドキャップ、ブーツ、グローブと完全防寒装備ながらも、

全身が縮みあがるようなコールドウォーターが

ウエットの隙間から容赦なく侵入してくるなか、

激しいカレントが収まるタイミングを見極め

再びラインナップへとたどり着く。

海が見た目以上に動いているのは一目瞭然だった。

しかし、それでも金田輝士は狙った波をじっと待った。

場合によってはサイズダウンの早い日本海の波。

このチャンスを逃すまいという気迫が、

カメラを構えるマニア越智にもひしひしと伝わってきていた。

と、遥かアウトから太いうねりが数本押し寄せてくるのが見えた。

「このセットのどれかに乗るかもしれない」

そう直感的に思ったマニア越智は、ファインダーを覗き、

自分を落ち着かせるかのようにピントを合わせた。

金田輝士がボードを岸側へと返し、

そそり立つ壁となったセットの波をレギュラー方向へ遅れ気味でテイクオフ。

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そのままチューブのなかにボードをねじ込み、

出口付近でリップを喰らったものの、

今度は見事に抜け出てきた。

この一本でリズムをつかんだのか、

今度はテンポ良く数少ないレフトのセットを掴み、

グラブレールの形のままレイト・テイクオフ。

この波はボトムに降りる暇もないほど展開が速かったことから、

波の中腹でなだれ込むように、

まさに紙一重のタイミングでプルインを決める。

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まさにこの日のセッションにおけるベストライドと呼ぶにふさわしい

見事なバックサイド・チューブを決め、

満面の笑みを浮かべながら海から上がってきた。

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そんな金田輝士自身にしてみてもこの一本は、

この日のこのコンディションにおいて貴重な一本となったとのちに語った。

まさに金田輝士がプロとして培ってきた経験とテクニック、

そして天性のセンスが導いた1本といえた。

危険な香り漂うエピックなセッションを終えたところで

隣のビーチをチェックしてみると、

雲の隙間からのぞかせる僅かな陽が、

冬空を淡い蒼とピンク色に染めかけていた。

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山と岬の稜線がシルエットとなって浮かび上がる幻想的な光のなか、

西に向かって飛び立っていく渡り鳥の群れ。

それに届けと言わんばかりに、何度もなんども波頭から飛翔を繰り返す。

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「次回はもっとパーフェクトなコンディションを狙いたいです」

そう言い残し、この11月末のとある日のセッションを終えた。

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が、実際にこの次に訪れる巨大な西高東低が、

そんな金田輝士の願いを叶えてくれるとは、

このとき誰も知る由はなかった。

果たして、次なる西高東低でどんな波と遭遇することとなるのか!?

近日公開予定となっている次回のマニア越智による

日本海マニアな記事を乞うご期待ください!

 

 

 

つづく

 

>>【西高東低愛好会】たったひとりでもリスキーな大波チューブに挑む冬の日本海セッション with 金田輝士 | 前編

 

 

 

 

 

yoge
サーフィン・プレビュー/吉田憲右著・泉書房、古都鎌倉ミステリー旅/吉田憲右著・コスミック出版など数々の書籍を発行し、2000年にTRANSWORLD SURFの外部スタッフとなったのをきっかけにメディア界に参入。 2001年から2009年10月まで月刊SURFING WORLDの編集部兼カメラマンとして勤務。 その経験と共に、第1回NSA東日本サーフィン選手権大会Jrクラス3位、2年連続THE SURFSKATERS総合チャンプなどテストライダーとして培ってきた経歴を活かし、サーフィンを軸としたスケートボード、スノーボード、ミュージック、アート全般をひとつのコーストカルチャーとしてとらえ、心の赴くままにシャッターを押し、発信し続ける。 >>>出版物 >>>プライベート撮影問い合わせ