Movie by RVCA. Photos by Delon Issues. Text by 3ZO.

 

シングル、ツイン、トライ、クアッド、サーフボードに不可欠なフィン。

3つのフィンを持ち、様々なコンディションに対応でき、今もなおCT選手をはじめとしてもっとも普及しているトライフィン、通称スラスター。

この最も一般的なボード形状を発案したのは誰であろう?

それはさかのぼること1981年。

豪州のプロサーファーであったサイモン・アンダーソンが自身の発案したスラスターをもってして、BellsやPipeline Mastersにて優勝したことをきっかけに、その性能は今日までサーフボードのスタンダーとなるべく世界中に普及した。

しかし今回、お伝えするのは同じトライフィンでもスラスターが世に現ること9年前の1972年、カリフォルニア、オックスナード出身の2人のシェイパー兄弟キャンベル・ブラザーズによって開発されたボンザーである。

Campbell Brothers.

 

かッ飛ぶように走る直進性に重きを置き、鈍角三角形のサイドフィンと深いコンケーブを持つ独特な形状のボンザーデザイン。

近年のサーフカルチャーの多様化により、多くの人々がサーフボードを用途に合わせて選択し、サーフィンを楽しむ環境になってきているが、そんな中でもボンザーフィンはアレックス・ノストやエリス・エリクソンなどのフリースタイルなサーファーが好む通な板として、再び脚光を浴びているボードデザインであろう。

Duncan Campbell & Alex Knost.

Duncan Campbell & Taylor Knox.

Jared Mell & Mitch Abshere.

 

現在はハワイに在住しCafe Haleiwa (Bonzer Front)を営むダンカン。

そして地元オックスナードに根を下ろし実直に今も職人として、オリジナルボンザーを提供し続けるマルコム。

半世紀近くにも渡り、デザインのベースを守り続け、それぞれの時代が放ったコマーシャルな流れに迎合せず、ボンザーのみを追求して特化し続けたスタイルは再評価を受けるに相応しい人物であろう。

2月よりコスタメサにあるCOSTA MESA CONCEPTUAL ART CENTERにて4月8日まで開催されている”THE BONZER”はそんなボンザーを愛してやまなく、ボンザーの沸沸と湧きだした再評価の功労者でもあるウナクネ総帥ことアレックス・ノストがキュレーションしたボンザーの歴史を凝縮したアーカイブ的アートショーである。

 

1973年代の初期のボンザーやマルコム本人が所有する写真、展示アーカイブの数々はボンザーファンでもなくとも、ボンザーを介してサーフヒストリーを垣間見ることのできる興味ある展示内容となっている。

レセプション当日はアレックス・ノストだけでなく、以前より5フィンボンザーを愛用しているテイラー・ノックスなども訪れ、ボンザー好きがボンザーの魅力を語るという、ある意味究極なマニアック空間が自然と演出されていた。

Campbell Brothers ‘The Bonzer’ from RVCA on Vimeo.

 

現在も地元オックスナードに居を置きボンザーを中心にシェープを続けるマルコムは決してこのブームに奢ることなく、メローな人柄で自分の技術を突き詰め続けている。

 

もっと多くの人々にボンザーを体験してほしいと常々語るマルコムの削るボンザーは人気が再燃していることもあり、中々キャンベルボンザーを体験するチャンスは無いかもしれない。

しかしもし機会があるのであればボンザーが持つ他にはない乗り心地をぜひ体験してほしい。

そしてこの展示期間中にカルフォルニアに訪れる機会があれば、こちらのアートショーも要チェックである!

 

 

 

 

yoge
サーフィン・プレビュー/吉田憲右著・泉書房、古都鎌倉ミステリー旅/吉田憲右著・コスミック出版など数々の書籍を発行し、2000年にTRANSWORLD SURFの外部スタッフとなったのをきっかけにメディア界に参入。 2001年から2009年10月まで月刊SURFING WORLDの編集部兼カメラマンとして勤務。 その経験と共に、第1回NSA東日本サーフィン選手権大会Jrクラス3位、2年連続THE SURFSKATERS総合チャンプなどテストライダーとして培ってきた経歴を活かし、サーフィンを軸としたスケートボード、スノーボード、ミュージック、アート全般をひとつのコーストカルチャーとしてとらえ、心の赴くままにシャッターを押し、発信し続ける。 >>>出版物 >>>プライベート撮影問い合わせ