Photos by WSL & colorsmagyoge. Text by colorsmagyoge.

 

LAX空港やサンフランシスコ空港から車でおよそ3~4時間ほど内陸に走ったカリフォルニアのレモーにあるKelly Slaterの人工波施設”Surf Ranch”を舞台に、現地時間の9/9(日)、CT第8戦”Surf Ranch Pro”の大会最終日が無事終了となった。

多くのギャラリーが会場に押し寄せたこの日はMENS8名、WOMENS4名のファイナリストたちによるファイナル・ラウンドが行われ、グーフィー、レギュラー共に1本ずつ乗るRUNが3回ずつ(グーフィーの波がいつもと違ったということでMENSのみグーフィーが1本追加され計4本となった)行われた。

 

注目の五十嵐カノアはRUN1のレギュラーの波でアウトサイドでエアリバースを交えてそのままチューブになだれ込むコンビネーションで8.17pt、さらにRUN2でのグーフィーの波で7.60ptを揃え、3位のポジションをキープしていたが、RUN3のグーフィーで7.67ptをマークしてバックアップスコアを上げ、トータルスコア16.27ptを揃えたKelly Slaterに逆転されることとなってしまい、4位で本イベントをフィニッシュ!!

Kanoa Igarashi.

 

しかし、この世界の大舞台において、上位にいるのは11×ワールドチャンプのKelly Slaterとブラジリアンとして初めてワールドタイトルを獲得したGabriel Medina、そして現在CTランキング1位を独走し、2018年ワールドタイトルに1番近い位置にいるFilipe Toledoのみであり、Owen Wright、Julian Wilson、Sebastian Zietz、Miguel Pupoといった世界各国を代表する強豪たちを抑えての今回の結果は日本サーフィン界にとっても価値あるものとなったに違いないだろう。

Kelly Slater.

 

たとえ育った場所がカリフォルニアであってもその血は100%日本人であり、世界最高峰のサーフィンプロツアーにおいて日本の国旗をゼッケンの両肩に背負ってたった一人で戦い抜き、足がパンパンになりながらも全力で波に乗るその姿には心が震えるほどの感動を覚えたことは言うまでもない。

Kanoa Igarashi.

 

まさに日本人サーファーでも世界を相手にここまでできることを証明する彼の姿は、いままでの日本のサーフシーンにおいて閉ざされていたように思えていた”世界の壁”というものが、突き破ることができるものだという勇気と希望を与えてくれるには十分であり、今回30位でフィニッシュした大原洋人はもちろん、今後必ず日本育ちの日本人プロサーファーでも五十嵐カノアの後に続くような世界に通用する選手が出てくるに違いない。

そんな日本人サーファーに対する無限の可能性を感じることができた強烈な一戦となった。

五十嵐カノアは今回の結果により、CTランキング7位へ浮上!!

フランス、ポルトガル、ハワイへと続く残りのCT3戦での快進撃にも期待したい!

そして、9/14(金)より愛知県の伊良湖を会場にスタートとなるISAワールドサーフィンゲームスに、大原洋人、村上舜、川合美乃里と共に日本最強チームの一員として参戦する予定!!

Go Kanoa!

Go Japan!!!

そんな中、今回のビッグイベントを制したのはMENSがGabriel Medina!

WOMENSはCarissa Moore!!

2014 World Champion Gabriel Medina (BRA) is the winner of the 2018 Surf Ranch Pro in Lemoore, CA, USA.
3X World Champion Carissa Moore (HAW) is the winner of the Women’s 2018 Surf Ranch Pro in Lemoore, CA, USA.

 

MENSではGabriel Medinaのいとも簡単そうに非常に難易度の高いあらゆる技を入れてくるハイレベル過ぎるそのライディングに圧倒されたことはもちろんであるが、しかし、1番印象に残っているライディングはどれだったかと聞かれれば、それは今大会のハイエストスコアであり、限りなく10ptに近く、しかしなぜ届かなかったのか未だにわからないRUN2のレギュラーでFilipe Toledoが叩き出した9.80ptのライディングに他ならない。

 

テイクオフして3回目のターンでエアリバースを決めてソリッドなターンを1発入れたかと思えばそのままチューブになだれ込み、抜けてきてすぐにアーリーウープを決め、さらに狂ったようなターンを連発してインサイド・チューブを駆け抜けたかと思えば今度はこれでもかというくらい高さのあるフルローテーション・アーリーウープをメイクして最後は鬼のスラッシング・カーヴィングでフィニッシュという、まさにゲームの世界のようなネクストレベル過ぎるそのライディングには、会場にいる誰もが歓声をあげたほど、コンテスト・サーフィンの基準の領域を超えてただただ”凄い”のひと言のみの1本となった。

映像で見る以上にいい部分もあれば海に勝るものはやはりないとも思える部分もあったりと、色々と感じることができた今回初めてとなった人工波でのサーフコンテスト取材。

そこで感じたこと、会場の詳しい様子などはまた別の記事でお伝えさせて頂くとして、とにかく最後の最後まで想像が付かないにエキサイティングなCT第8戦”Surf Ranch Pro”となった!

 

 

 

 

yoge
サーフィン・プレビュー/吉田憲右著・泉書房、古都鎌倉ミステリー旅/吉田憲右著・コスミック出版など数々の書籍を発行し、2000年にTRANSWORLD SURFの外部スタッフとなったのをきっかけにメディア界に参入。 2001年から2009年10月まで月刊SURFING WORLDの編集部兼カメラマンとして勤務。 その経験と共に、第1回NSA東日本サーフィン選手権大会Jrクラス3位、2年連続THE SURFSKATERS総合チャンプなどテストライダーとして培ってきた経歴を活かし、サーフィンを軸としたスケートボード、スノーボード、ミュージック、アート全般をひとつのコーストカルチャーとしてとらえ、心の赴くままにシャッターを押し、発信し続ける。 >>>出版物 >>>プライベート撮影問い合わせ