Photos by Motoko Kumagai. Text by colorsmagyoge.
まさかのサイズアップとなった6/8(土)の仙台新港でのフリーセッションを終えると、今度は仙台駅西口からほど近い場所にあるアイルの13階を会場に、いよいよ松岡慧斗の地元、仙台ローカルコミュニティーによる祝賀会がスタートとなった。
松岡慧斗のスポンサーであるQUIVER wetsuitsのマロさんと共に少し遅れ気味で会場に入ると、すでに壇上では松岡慧斗のご挨拶が始まっており、200人はいるであろう来場者たちは皆、食い入るようにその松岡の言葉に耳を傾けていた。
受付には、幼い頃から松岡慧斗を兄のように慕い、今は同じプロサーファーとして活躍する高橋みなとや小島翼、小嶋OJK海生、プロボディーボーダーの後藤朝子、先輩の越後将平プロとメンツルこと高橋雄治、熊谷航といった仙台新港を代表するトップサーファーたちの面々。
さらには、遠路遥々大阪から駆けつけてきた藤本軌道の小池社長、京都の間屋口峻英プロ、ジュニア時代の松岡慧斗の同級生でライバルだった山田恭平、松岡慧斗が幼い頃から同じDROP OUT surfboardsチームの先輩として大きな背中で多くを教えてくれた沼尻和則プロ、その後輩の小野嘉夫プロ、岩手を代表する杉本浩プロ、山形出身で仙台を第二の故郷とする山本陽一プロと山本友紀プロファミリー。
カメラを片手に、この瞬間を逃さぬよう真剣な眼差しで会場を駆け回るのは、仙台を代表する女性プロサーファーとして活躍し続けてきた他にはない確かな目と経験を武器に、今では仙台新港出身の日本を代表するフォトグラファー&フィルマーとして活躍するcolorsmagでもお馴染みの熊谷素子さん。
マカさんこと加藤孝典、チャーミーさんこと村上英令、colorsmag的仙台のTaylor Knox鈴木晋太郎といったプロ級の腕前を持つトップアマ選手たちから、これからそんな先輩たちを超えるであろう次世代キッズたち、さらには仙台新港の歴史と共にそのサーフィン人生を歩み続けてきた往年のローカル・レジェンドたちまで、ビジターとしてこの祝賀会に参加させて頂いたcolorsmagとしては、その層の厚過ぎるディープで濃い集いから溢れ出る仙台バイブスのあまりの高さに圧倒されてしまったことはいうまでもない。
かつてはHURLEYというビッグスポンサーにサポートされていながら、自らの性格が仇となって契約更新することができず、それ以来プロサーファーとして生計を立てていくのに苦労し続けてきた松岡慧斗。
しかし、そんな彼の可能性を信じ、経済的な面でも陰で支え続けてきた仙台レジェンドサーファーたち。
それを代表する佐山さんによる乾杯の音頭と共にしばし歓談。
思えばcolorsmagと松岡慧斗が今のような形でコネクトするきっかけとなったのは、colorsmagがまだ立ち上げ当初だった8年前。
忘れもしない東日本大震災が起こった2011年のこと。
およそ10年勤続した月刊サーフィンワールド誌が廃刊となり、人生の崖っぷちに立たされ最後のワンチャンスをかけてcolorsmagを立ち上げたところに、HURLEYのスポンサーを失って同じく人生の窮地に立たされていた松岡慧斗と、偶然にも、逗子という湘南の東端の小さな町の道端で再会した。
それはまるで、colorsmagと松岡の共通の仲間であり、逗子の隣の葉山出身で今は亡きビッグウェイバー佐久間洋之介の魂に引き寄せられたかのような不思議な再会であった。
当時松岡が住んでいた逗子の穏やかな家で色々と語り合い、お互いここから這い上がろうと、誓い合った日のことを、まるで昨日のことのように思い出す。
それから松岡慧斗と刻み続けてきたcolorsmagの歴史と記録。
台風でクローズアウトとなった湘南で、多くのプロたちがうねりを交わす形のいいブレイクでのセッションを望む中、誰もが見ぬふりをするような強烈なビーチブレイクに突っ込んで、一般人の足すら止め、拍手を送られるほどの感動を与えるライディングを見せてくれた日のこと。
佐久間洋之介が生前愛し、今はビッグウェイブコンテスト洋之介メモリアルカップの会場となっているyanopeakが台風直撃で本性を現した日に、大橋海人、佐藤和也、中村竜、湯川正人、そして佐久間泰介といったメンバーですら太刀打ちできないほどの怪物波を、たったひとり、松岡だけがライドしてみせた日のこと。
そして2018年に成し遂げたDA HUI Backdoor Shootoutでの11ptとベストライド賞に3位入賞。
その年の夏の終わりの台風では、村上舜、村上蓮といったチームMAD DAWGメンバーたちと前人未到の未開のブレイクをスコアし、狂気のバックサイドチューブを連発した日のこと。
【前人未到の】松岡慧斗、村上舜、村上蓮、松下諒大がぐりぐりチューブな未開のレフトブレイクを開拓! もうひとつの台風13号セッション
さらに極め付けとなった2019年DA HUI Backdoor Shootoutでのパーフェクト12ptと2年連続ベストライディング賞と3位入賞に加えて世界一の波情報サイトSurfline主催のWave Of The Winterでの優勝で世界一に輝くという日本人プロサーファーが成し得なかった偉業を成し遂げたこと。
【神風速報】パーフェクト12ptを記録した松岡慧斗が昨年に引き続き大会最高得点と3位、中村昭太が4位入賞とベストチャージ賞を受賞!Backdoor Shootout 2019が無事終了!
【祝!日本人初の偉業達成】松岡慧斗が優勝を飾ったWave Of The Winter2019ショートドキュメンタリーがSurflineより待望のドロップ!!
それまでの道のりには、8時間も10時間も車を走らせたにも関わらず狙った波を外すことが何度も何度もあった。
いざ追い求めた強烈な波に遭遇した時には、ファインダー越しに松岡の命の危険を感じることが何度も何度もあった。
それでも再び沖に向かい、メイクするまで挑戦し続けるその執念と不屈の闘志。
そこまでして松岡慧斗を突き動かすものは、いったい何なのか。
それは幼い頃から松岡慧斗を支え続けてきてくれた仙台新港の歴史深く層の厚いコミュニティーのバックアップ。
そして何よりも、雪の日も雨の日も、仙台の街から仙台新港に毎日欠かさず幼い自分を海に連れて行ってくれた母親の存在。
そして新しい自分のかけがえのない家族が与えてくれた未知なるパワー。
祝賀会を締めくくる最後のスピーチで、どんなことがあっても決して涙を流すことのなかった松岡慧斗の涙を初めて目にしたとき、彼の強さの根底にあり続けてきたものは、この会場にすべて集約されていたことを思い知らされたような気持ちになり、改めて1本の波にすべてを賭けることができる松岡慧斗という一人のサーファーのすごさを痛感し、胸が熱くなった。
そんな松岡慧斗の仙台新港に育まれたソウルは、これから仙台新港を背負って立つ次世代サーファーたちに受け継がれていくに違いないだろう。
本当に仙台ローカルコミュニティーの方々の愛の深さを感じずにはいられず、心に残る最高の祝賀会となった今回のイベント。
改めてこの場を借りて、仙台ローカルコミュニティーのみなさま、素晴らしい時間と感動をありがとうございました。
そして、これからもKelly Slaterすらその存在を認める世界一のサーファー、松岡慧斗の活躍から目が離せない!!
Go Keito!!
Go Japan!!!