Photos & Text by colorsmagyoge.
宮崎の木崎浜を会場に開催されていたISA World Surfing Gamesは9/15(日)にコンテストDAY9を迎え、リパチャージラウンド10とメインラウンド7からファイナルまでの全スケジュールが消化された。
この日最初に行われたリパチャージラウンド10のヒート1では、村上舜と和井田理央、Frederico Moraisが対戦。
このヒートで村上舜と和井田理央のどちらか敗退となれば、勝った方に2020年東京オリンピックのアジア代表枠が与えられるという、日本人のサーフィンファンにとってはこの日最も注目すべき1戦となった。
ヒート開始早々和井田理央がバックサイドで6.171ptをマークしたのに対し、じっくりといい波を待つ村上舜。
なかなかいい波が入ってこない状況の中、レギュラーの波を掴んだ村上は1発目からソリッドなセクションに当て込み1本の波で3発のターンを交えたライディングで7.23ptをマーク!
Shun Murakami.
さらに3本目にフロントサイドで5.67pt、5本目で6.90ptを叩き出してバックアップをあげるとトータルスコア14.13ptでCTサーファーのFrederico Moraisも抑えて1位のポジションで見事ラウンドアップを決めた!
終始逆転を狙った和井田理央は、中盤にいい波を掴めず、ヒート後半に乗った6本目の波で5.47ptをスコアしたものの、2位のFrederico Moraisに僅か0.03pt届かず、惜しくもここで敗退となってしまった。
この村上舜が残した結果により2020年東京オリンピックのアジア代表枠は日本が確保。
2020年の3月から5月に行われる予定のISA World Surfing Gamesの結果が出るまではまだわからないが、かなり高い確率で村上舜が日本代表選手として五十嵐カノアと共に2020年東京オリンピックの舞台に立つことが予想される。
何れにしても、2020年のISA World Surfing Gamesからも目が離せない!!
ヒート終了直後に海の中で握手をし、お互いを讃え合う和井田理央と村上舜。負けた和井田理央の悔しさを思うとそれは計り知れないが、そこは勝負の世界。トップアスリート同士の真剣勝負に後腐れなしなcolorsmag的感動の1シーンとなった。Shun & Rio Waida.
ここで勢いをつけた村上舜は、リパチャージラウンド11でも好調なサーフィンでトータルスコア12.57ptをマーク。
モロッコ代表のRamzi Boukhiamにつぐ2位のポジションでラウンドアップ。
Shun Murakami.
さらに迎えたリパチャージラウンド12ではキングKelly SlaterにCTトップランカーItalo Ferreira、Ramzi Boukhiamと対戦となり、流石に村上の快進撃もここまでなのかと思いきや、まさかのこの日こなしたヒートの中で最高のパフォーマンスを連発!
4本目の波ではフィン抜け抜けのダイナミックなフロントリップ2発で7.50pt、さらにKelly Slaterとレギュラーとグーフィーを分けてテイクオフした5本目の波ではバックサイドで7.17ptをマークすると、この面子を相手に1位のポジションをキープ!
Kelly Slater.
Shun Murakami & Kelly Slater.
Italo Ferreira.
しかし、Italo Ferreiraの追い上げはさすがで、僅か0.03pt差で逆転されてしまったものの、見事2位でファイナルへ進出!
まさにキングKelly Slaterを倒した日本人サーファーとしては、今村大介プロ以来の快挙となった!!
Shun Murakami.
ファイナルはItalo Ferreira、Kolohe AndinoといったCTトップランカー2名にワールドチャンプGabriel Medinaと対戦。
ここでもさらなる快進撃が期待されたが、Kolohe Andinoが好調な滑り出しを見せてヒートの流れを掴むと、中盤にはItalo Ferreiraがあり得ないバックサイドエアリバースで10ptをマーク!
Kolohe Andino.
Gabriel Medina.
1位にItalo Ferreira、2位にKolohe Andinoという状況の中、2本目に6.77pt、3本目に4.97ptで3位のポジションをキープしていた村上だったが、まったくいい波を掴めず翻弄されていたワールドチャンプGabriel Medinaが良くない波ながらもさすがのライディングで詰め寄り、悔しくも逆転されて4位でフィニッシュ。
Italo Ferreiraが見事ISA World Surfing Gamesを制し、金メダルを獲得した!
おめでとう!!
今大会直前にカリフォルニアでパスポートを盗まれるハプニングに見舞われながらもなんとかメイクして日本に渡り、ヒート時間残り9分ギリギリで自分のヒートに間に合ったかと思いきや、自分のボードが届かず、Filipe Toledoのボードで見事勝ち上がり、最終的には優勝を果たしてしまったItalo Ferreira.かなり神がかり的かつまるで漫画のような金メダル獲得に至るまでのこの裏話は、今後もサーフィン界の神話として語り継がれていくに違いない。Italo Ferreira.
しかし、日本中が注目する和井田理央との戦いを制したことで2020年東京オリンピックのアジア出場枠を日本にもたらし、キングKelly Slaterを倒して伝説を作り、昨年同様4位ながら表彰台に登った村上舜の活躍は、日本人サーファーの誇り以外の何物でもないだろう。
多くのCTサーファーが参戦し、自分よりも強い相手でろうと臆することなく全力で立ち向かい、次から次へと日本人サーファーの常識を覆してくれた今回の村上舜、まさに現代サーフシーンを揺るがすスーパーサーフスターそのものである!
村上舜が最も慕う先輩プロサーファー、日本人初の快挙となったWave Of The Winterで世界一に輝いた松岡慧斗のインスタグラムより。村上舜はこの大会が終わった直後、飛行機に乗ってQS6000”Azores Airline Pro”出場のためポルトガルのアゾレス諸島へと旅立っていった。村上舜のQS6000”Azores Airline Pro”での活躍にも期待したい!!Shun Mutakami, New Japanese Super Surf Star.
そんな村上の活躍も手伝って、各国が国を挙げてCTサーファーを含めたトップ・オブ・トップで自国のチームを固め、2020年東京オリンピックに向けて挑んだハイレベルな今大会において、日本は国別で銅メダルを獲得。
昨年のように金メダル獲得とはならなかったが、昨年の何倍もレベルの高い今大会において日本代表チームが残してくれたこの結果は、日本のサーフィンが世界に限りなく近づいていることを証明する結果と言って過言ではないはずだ。
9日間という長期間に渡って熱い戦いが繰り広げられた今回のISA World Surfing Gamesを戦い抜いた日本代表選手たちに、この場を借りて改めて、素晴らしい感動をありがとう!!
日本サーフィンをネクストレベルに引き上げる起爆剤である五十嵐カノアという大きな存在はもちろん、つい先日スペインでのQS10000で優勝を果たした都筑有夢路の活躍、そして今回の村上舜をはじめとした日本代表チームたちの快進撃。
TEAM JAPAN 2019.
日本のサーフィンが世界と対等に戦える日は、そう遠くないと初めて現実的に実感することができた2019年夏となった。
Go Japan!!!